2025年8月29日(金)に全社的な「生成AI活用成果報告会」を開催いたしました。本報告会では、製造現場から管理部門に至るまで9つの部門が、生成AIを活用して業務効率化や生産性向上、さらには新たな価値創造に向けた具体的な取り組みと成果を発表しました。長野県に本社を置く製造業として、業界の課題解決と持続的成長を目指し、全社一丸となって生成AIの活用を推進してまいります。
国内の製造業は、労働人口の減少に伴う人材確保の困難や、熟練技術者の知見継承といった課題に直面しています。当社はこれらの課題を克服し、「製造業から『創造業』へ」というビジョンの実現を加速させるため、生成AIの活用が不可欠であると考えています。
2025年4月よりAIリーダーを各部門に任命し、現場主導での活用を推進してまいりました。今回の報告会は、その成果を全社で共有し、さらなる活用を促進するものです。
報告会では、9部門から多岐にわたる活用事例が報告されました。
【エクステリア部門】問い合わせ対応時間を90%削減
オーニングの主力製品に関する過去の資料をAIに学習させ、高精度なFAQシステムを構築。従来、平均30分を要していた特注仕様に関する問い合わせへの回答時間が、平均3分へと大幅に短縮されました。今後はチャットボット化も進め、24時間対応を目指します。
【ファニチャー部門】設計・開発の手戻りを削減し、フロントローディングを推進
過去の設計データや過去の報告書など、形式の異なる膨大な資料をAIに学習させ、統合検索システムを構築。開発の初期段階で過去の知見をAIが提示することで、設計的な手戻りを削減し、開発のフロントローディング(品質向上と開発期間短縮)を実現します。
【産業機器部門】データ分析に基づき、顧客への付加価値提案を実現
Webサイトからの問い合わせ内容をAIが分析し、購買意欲の高い顧客を自動でリストアップ。迅速なアプローチを可能にしました。また、顧客の受注データを分析し、発注のばらつきを抑える具体策を提案することで、顧客の工場負荷軽減と自社の生産性向上に貢献します。
【画像計測部門】問い合わせ対応の迅速化と負荷軽減を実現
社内外の問い合わせに対し、技術資料・FAQをAIが横断検索し要点を自動要約します。担当者は回答候補を即時に参照でき、初動対応のスピード向上を実現しました。
また、ナレッジの再利用性を高める運用により、属人的な探索作業を削減し、対応品質の平準化に貢献します。
【ヘルスケア部門】営業・品質・保守をつなぐ連携強化と提案力の検証
顧客接点データや品質・保守の対応履歴などの業務データをAIで横断分析し、案件状況に応じた次アクション提示と情報連携の可視化を進めています。一貫した顧客対応と提案の質の向上に資するかは、現在検証中です。
【技術開発本部】LLM活用による新市場開拓の加速
医療・介護分野に向け、LLMを活用したアプリケーションのコンセプトを提示し、事業性の初期評価を行いました。開発効率化や初期投資圧縮の余地を確認しており、今後はオープンソースLLMを用いたセキュア環境でのPoCを通じて効果検証を進めます。
【管理部門(人事・経理など)】専門業務の効率化と従業員満足度向上
人事部: 複雑な人事規定に関する問い合わせに24時間対応する「Q&A検索ポータル」を構築。従業員がいつでも正確な情報を得られる環境を整備しました。
経理部: 資産名と金額を入力するだけで、固定資産の勘定科目をAIが自動判別するシステムを開発。属人化しがちな業務の標準化を進めます。
メディカル部門: チームのディスカッション音声をAIが自動で文字起こし・要約。議事録作成時間を従来の1/5に短縮し、情報共有の質とスピードを向上させました。
当社は、個々の業務における「個人利用」から、部門や全社に知見を展開する「組織利用」へと生成AI活用のフェーズを進めてまいります。部門横断でのデータ活用をさらに推進し、将来的にはお客様への新たな価値提案や、新事業の創出へと繋げることで、「製造業から『創造業』へ」の進化を目指してまいります。