はじめに:キャンバス選びは「意匠」か「機能」か
建築設計において、オーニングやパラソルの生地(キャンバス)選定は、建物の外観イメージを左右する重要な要素です。しかし、2月のこの時期に春夏のプロジェクトを計画される設計士・オーナー様にとって、デザイン以上に重要なのが「長期的な耐久性」と「法規(防炎)への適合」、そして「室温上昇を抑える遮熱性能」です。
タカノでは、欧州の伝統あるブランドや国内の高性能なキャンバスの中から、日本の気候に合致するものを厳選して採用しています。 本稿では、カタログスペックの裏側にある「プロの選び方」を解説します。
この記事のポイント
キャンバスには大きく分けて「アクリル」と「ポリエステル(PVCコーティング)」の2種類があります。この違いを理解することが、最適な空間づくりの第一歩です。
イタリア・PARA社の「テンポテスト」に代表されるアクリル生地は、原料の段階で染色する「ソリューションダイ」という製法を採用しています。
| メリット | 発色性の良さ、色落ちしにくい など |
|---|---|
| 用途 | 意匠性重視のラグジュアリー空間、景観の品格を長く保ちたい施設。 |
日本のテイジンやフランスのセルジュ・フェラーリ社が得意とする素材です。
| メリット | 繊維を樹脂でコーティングしているため、耐水圧が高く、汚れも拭き取りやすい。防炎認定品が豊富で、日本の法規制にも適合しやすいのが特徴です。 |
|---|---|
| 用途 | 商店街のアーケード、雨天時の利用も想定されるカフェ、厳しい防炎基準が求められる公共施設。 |
設計実務において、タカノの製品情報をどう読み解くべきか、3つのポイントに絞りました。
日本の商業施設では、消防法により防炎性能が必須となるケースがほとんどです。設計段階で必ず確認すべき項目と言えるでしょう。タカノでは、日本の防炎製品認定番号を取得した生地を豊富にラインナップしています。
雨天時の利用をどこまで想定するかです。
| 生地ブランド | 耐水圧 | 遮熱・特殊機能 |
|---|---|---|
| PARA テンポテスト | 300mm(小雨程度) | テフロン加工(撥水)、UVカット90%以上 |
| テイジン シャガール | 1000mm(一般的な雨に対応) | 撥水加工、再生ポリエステル仕様のエコ素材 |
| テイジン ニューパスティ | 1500mm | フッ素系樹脂コート |
| セルジュ・フェラーリ プレコントラン502 |
2000mm以上(高い防水性) | PVDF特殊ポリマー処理、UVB100%カット |
近年では、室内の温熱環境を快適に保つパッシブデザインの観点から、日射熱取得率(η値)への関心も高まっています。これは、窓から室内に侵入する日射熱の割合を示す指標で、値が小さいほど遮熱性能が高いことを意味します。オーニングは、この日射熱取得率を効果的に下げる役割を担います。
2026年のトレンドとして外せないのが、プラスアルファの機能です。
| 遮熱重視 | テイジンの「トゥギャザーII」やメッシュ生地の「美妙(BIMYO)」は、赤外線を反射し、温度上昇を抑制します。 |
|---|---|
| サステナビリティ | 「シャガール」はリサイクルポリエステル繊維「エコペット」を使用したエコ商品。環境配慮を謳う施設のコンセプトに合致。 |
| メンテナンス性 | 光触媒で汚れを分解する「ラッシュ(Rush)」は、美観維持コストを低減します。 |
設計の現場で即座に活用いただける、タカノの目利きによる選定ガイドです。
イタリア・PARA社の「テンポテスト」を。アクリル特有の深い発色が、施設に「格式」を与えます。

静岡県 伊豆市 足湯カフェ(PARA 10/PARA 11)
フランス・フェラーリ社のメッシュ生地「ソルティス92」を。日差しを遮りながら、室内から外の景色が透けて見える開放感を演出します。
「プレコントラン502」を。サテン調の美しい質感に加え、高い耐水圧と防汚性を誇る、まさに2026年のラグジュアリーの決定版です。

長野駅-ステーションビルMIDORI屋上ビアガーデン(プレコントラン502V2)
生地のスペック(数字)を読み解くことは、施主様への説明責任を果たすだけでなく、その場所に生まれる「影の質」をデザインすることです。
「カタログの色と実物の質感は?」「この方位にはどの生地が適しているか?」といった疑問がございましたら、ぜひタカノへご相談ください。
私たちがプロの視点で選び抜いたラインナップから、貴方の設計思想を支える最高の一枚をご提案いたします。