小児喘息について

小児喘息とは、気道の慢性炎症により過敏性が高くなり、咳、喘鳴(ゼーゼーする呼吸)、呼吸困難を繰り返す病気です。小児喘息ではアトピー型が多く、ダニ、動物のフケ、カビ、花粉などのアレルゲンに反応して気道にアレルギー性の炎症が起きると考えられています。また、アレルゲン以外にもウイルス感染、受動喫煙、大気汚染など環境因子も気道炎症の誘因となります。非アトピー型の小児喘息は、気候、運動、心理要因などが悪化因子となり気道の過敏性を高め、喘息症状を引き起こすこともあります。また、家族にアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患がある場合が多く、遺伝的素因も発症に関与しているとされています。

小児喘息の診断は、詳細な問診(症状の経過、家族歴など)や身体所見、検査所見などから総合的に判断されます。呼吸機能検査やアレルギー検査は診断の目安になりますが、検査所見はあくまで参考です。特に乳幼児は呼吸機能検査ができないので、主に症状の経過と身体所見、他疾患の除外が診断のカギとなります。小児喘息の治療は、長期的に発作を予防する薬と急性増悪(発作)時に症状を抑える薬の違いを理解して使うことが大切です。また、喘息症状の予防には、ハウスダスト、ダニ、たばこの煙など悪化因子をできるだけ避けることも重要です。これまで小児喘息は、大人になれば治ることが多いといわれていました。しかし、最近の調査では、小児期の不十分な治療や繰り返す喘息症状が多いと、大人になっても喘息を持ち越すことが増えると報告されており、普段からの定期的な受診や自己管理が重要です。